【患者】30代前半、女性
【主訴】毎日頭痛が酷く、スッキリしない。いつも全身が凝る。
【既往歴】小学校低学年時、遊具から転落歴あり(頭部打撲有無不詳)。
【現病歴】小学校高学年の時から頭痛持ち。以後ずっと継続し、症状が強い時は市販薬を使っていた。20代になって悪化したため、近医脳神経外科を受診。画像検査で異常なく、4種類の薬処方あり。現在まで約6年間服用しているが、それでも頭痛が酷い時があり、スッキリしない。また、2~3年前から、いつも体に力が入っていて、何もしなくても全身が凝っている。
続きを読む
【現症】頭痛は主に両こめかみ部に感じる。視診にて肥満体型。薬剤服用後、20kg以上体重が増えたとのこと。触診では、両側頚部と後頚部全体に筋緊張が高い。頚部・両肩の可動域は日常生活に支障なしとのこと。四肢しびれなし。また、両側の季肋部付近や腰部にも高い筋緊張があった。腰痛は軽度あり。腰部側面の小指押圧深は、両側とも3cm。
【検査所見】四肢腱反射亢進なし。
【治療と結果】まず、左右の側頚部の筋緊張が高い部分から緩消法実施。約5分行い、左右側頚部の表層の筋緊張が減ったことを触診にて確認できた。
次に、頚部側面の筋緊張は、季肋部から外内腹斜筋腹側の筋緊張と関連があると考え、その部位へ緩消法実施。約10分行い、表層の筋緊張の減少が確認できた。また、季肋部付近の筋緊張は腰部周囲の筋緊張と関連があると考え、腰部側面に緩消法実施。約20分後、小指押圧深は両側4cmとなった。
症状の変化としては、主観にて頭痛が3割減り、また、視野が明るくなりスッキリした感じがするという変化が得られた。
【考察】数年間の薬剤服用でも症状がほとんど変わっていない症例に対し、初回治療で症状に変化を出すことができた。頭痛発生の契機は、小学生時の転落外傷により後頚部周囲の筋緊張が高まり、それが持続して発生した可能性がある。また、ここ数年の全身の凝りに関しては、薬剤の副作用の可能性も考えられるため、今後、緩消法を取り入れながら卒薬ができることが望ましいと思われる。