半年間続く右股関節痛と可動域制限を改善できた一例

【現症】歩行時痛は股関節前方（以下、鼡径部）・外側・後方（以下、臀部）にあり。特に、歩行開始時痛（以下、starting pain）が強い。鼡径部周囲の筋群に圧痛あり。外側と臀部には圧痛なし。股関節可動域（以下、ROM）は、屈曲30°・外転15°・伸展－10°であった。触診では右鼡径部から大腿四頭筋にかけての筋緊張が高かった。
【検査所見】単純レントゲン写真では、右股関節に中等度の変形性関節症性変化あり。
【治療と結果】初回施術。まず仰臥位にて、筋緊張が高かった鼡径部筋群に緩消法を実施。約5分後、starting painは10から8（NRS
改変）へと小さくなった。
　更に約20分実施し、8から5（NRS改変）へと更に小さくなった。ROMは屈曲45°に改善。外転・伸展は変化がなかった。次に、鼡径部の筋緊張は、腸骨の上前腸骨棘周囲筋群から腰部側面筋群の筋緊張と関連していると考え、それらの筋群にも緩消法を実施。股ROMは屈曲50°・外転30°・伸展5°へと改善した。
【考察】初回で痛みを半減させることができた。ROMに関しては、改善はしたが制限はまだ強く残存している。今後、鼡径部・上前腸骨棘周囲・腰部周囲筋群の筋緊張を更に減らすことにより、starting pain減少、ROM改善が期待できると考える。