【患者】50代後半 男性
【主訴】右肘を曲げた時や重い物を持つ時に痛みが有る。
【現病歴】約3カ月前から、朝起きて顔を洗う時や物を持つ動作時に、右肘に痛みが発生。約10年前からボクシングを始め、最近は週3~4回と回数が増えている。
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【現症】安静時痛は無く、右肘関節屈曲動作で痛みが有り、特に物を持ち上げる時に痛みが増大する。右肘関節可動域(以下、ROM)は自動で屈曲約100°で右肘内側上顆付近に痛みを訴える。右肘関節伸展動作では痛みは無いが、右肘ROMは自動で伸展約-20°とROM制限が有る。
【施術と結果】本症例は、右肘関節屈曲動作で痛みが有り、負荷をかけると更に痛みが増大すると訴えており、屈曲動作で屈筋側に痛みが発生している為、痛みの要因として疼痛部位に筋の癒着の様な物が有ると考えた。
一番痛みの強い部位が右肘内側上顆付近の為、周囲の一番筋緊張の強い部位に癒着の様な物を確認した為、緩消法を約50秒施術した結果、癒着がはずれたと判断できるほど筋が自由に動けるようになり、右肘ROMは自動で屈曲約120°までは痛みが消失し、伸展も自動で約0°までROMが大きくなった。
更に右前腕屈筋側の筋緊張部分に緩消法を約5分施術した結果、右肘ROMは自動で屈曲約130°と大きくなり、屈曲時の痛みは10から4(NRS改変)と小さくなった。次に上肢の筋緊張の要因として腰部の筋緊張が考えられる為、腰部腹側の第10胸椎から第12胸椎の肋骨周辺の筋緊張部位に緩消法を約10分施術した結果、右肘ROMは自動で屈曲約145°と大きくなり、痛みは10から0(NRS改変)と消失し、物を持ち上げ負荷をかけても痛みが発生しないとの報告を受けた。
本症例の様に、屈曲動作で屈筋側に痛みが発生している症状の要因に疼痛部位の筋の癒着の様な物が関係している事、疼痛部位と腰部の筋弛緩によりROM制限が解除されるまで改善できる事がわかる一例となった。