緩消法研究会について
緩消法(かんしょうほう)とは2007年に開発された、筋肉を傷つけずに、無緊張な状態に弛緩できる治療方法です。
2012年に学会発表と論文により、世界で初めて痛みが消えることを科学的に証明されました。さらに、技術を習得すれ誰でもできる、「再現性のある」治療方法であることも証明されました。
緩消法は開発されてから、様々な方々に活用されてきました。
一般の方々には、学校形式で自分の体の痛みを治すために、緩消法を習得する方法を指導しています。
このほか、緩消法の技術を活用して、施術を行うための技術指導も行っています。
特に、患者さんを痛みや不調から救いたいと願う、医師や国家資格のある治療家、整体師などの民間の治療家の方々からは、緩消法が「治せる技術」であることを実感いただいています。
医療従事者の方々は、患者さんから喜びの声を励みに、技術向上へ向けて日々、努力されています。
緩消法研究会では、医師や治療家などの医療従事者の方々が、緩消法を活用して、今まで治せなかった症状が改善した事例を報告していきます。
そして、緩消法の技術と可能性を普及させて、痛みや不調に困らない世の中になることを願っています。
症例報告の掲載基準
『緩消法研究会』は、以下の基準にて症例報告を作成しています。
緩消法とは、2007年に筋生理学者の坂戸孝志先生が開発した筋弛緩法になります。
緊張している筋に対し、指先を押し当てたまま筋を伸縮させることにより、筋が限りなく無緊張状態になります。
緩消法の開発により、強いマッサージやストレッチのように筋を傷つけることがなく、患者様の痛みを解消することができ、さらに筋緊張による様々な体の不調を解消できることがわかってきています。
多くの医師や・医療関係者の方々に、患者様を傷つけるリスクが無いともいえる治療法で、一人でも多くの患者様を救える可能性のある治療法を知っていただきたく、症例報告を掲載させていただいております。
また、職業などの記載がありませんが、患者様が今困っている症状をいち早く取り除ける治療法であることをご理解いただける内容としています。
ここにある症例報告は、医師を含めた査読委員会を結成し、倫理的に問題がないことを承認したうえでの掲載となっています。
◆痛みのスケール
痛みの評価は【NRS改変】と表記し、初見時の痛みを10として評価しています。
※NRSは、10:これ以上ない痛みとして国際的に合意されていますが、曖昧過ぎて評価しずらいことと、患者様は今の痛みを治したいので、初見時の痛みを10とし、症例報告に表記いたします。
用語解説
▼新着の症例報告
◆特定症状の症例報告をお探しの際は、サイトフッターの「サイト内キーワード検索」をご活用下さい。
【患者】50代前半、女性
【主訴】左肩を動かすと痛く、上げづらい
【既往歴】特記事項なし
【現病歴】数ヶ月前、特に誘因なく左肩周囲に違和感が発生。その後だんだんと痛みに変わり、肩が上げづらくなってきた。医療機関にはかからず、市販のシップや痛み止めを買って使用していた。しかし、シップ等の効果が乏しいため、当院へ来院した。
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【現症】安静時痛あり。夜間痛あり。局所の圧痛は複数箇所あるも、発赤・熱感なし。初診時の左肩自動ROMは、屈曲120°・外転95°。drop armsign陰性。
【検査所見】単純レントゲン写真にて関節症性変化や石灰沈着なし。頚椎病変に関する神経学的異常なし。
【治療と結果】外転制限が一番支障があるとのことで、肩前方・後方・腋窩の筋肉を触診し、筋緊張が一番高い部分から順次緩消法を実施。 また、肩関節を他動で動かした時に、一番緊張していて突っ張っている筋肉も触診で探し、順次、緩消法を実施していった。約5分後、左肩自動屈曲135°・外転110°に改善した。
【考察】腰部の筋肉を触診すると、腰部周囲の筋緊張も高かったため、肩の症状は腰部周囲筋の筋緊張との関連があると考えた。肩周囲の筋肉が背部に引っ張られ、背部の筋肉は腰部に引っ張られ、その事が肩が上げづらくなっていた事と関与している、と推察した。今後は腰部にも緩消法を実施していく予定である。
【患者】70代前半、女性
【主訴】首の後ろ全体が痛い
【既往歴】幼少時にポリオに罹患。後遺症で両下肢不全麻痺。
【現病歴】上記既往にて幼少時から車椅子生活が長い。以来、両肩がもともと凝るほうだったが、数年前からその凝りが強い痛みになってきた。痛みが強い時は、押さえて痛い部分に痛み止めの注射を他院で打ってもらっていたことが複数回ある。現在は、デイケアで週
2回リハビリを受けているが、症状が全く変化なしとのこと。
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【現症】頚部は視診上、左右側屈と左右回旋に制限あり。後頚部は全体的に筋緊張が高く、触診にて硬結様部分もあり。車椅子座位で後頚部全体に安静時痛あり。局所熱感なし。両下腿に軽度浮腫あり。
【検査所見】Jacksonテスト陰性、Spurlingテスト陰性。腱反射亢進なし。Hoffmann反射陰性。その他、両上肢に痺れや麻痺等の神経学的異常なし。
【治療と結果】後頚部の痛みが強い部分から順に、緩消法を実施。頚部自動運動をしてもらい、痛みを感じる筋肉に対し、頚部を他動的に動かして実施。
約30秒毎に頚部自動運動にて痛みの変化を確認してもらいながら、順次一番痛い部分の筋肉に緩消法を行っていった。数分後、痛みが10から8(NRS改変)へと小さくなり、また、安静時痛も10から6(NRS改変)へと小さくなった。
【考察】普段、週2回リハビリを受けていても痛みが変わらなかった後頚部痛に対し、緩消法により短時間で痛みを減らすことができた。緩消法は、短時間で症状を減らすのに役立つ方法の一つであると考えられる。
【患者】80代前半、女性
【主訴】歩く時や立ち座りの時に左膝の内側が痛い。正座ができない。
【既往歴】高血圧症(近医内科に通院加療中)
【現病歴】数ヶ月前から、歩行時や立ち座りの際に、左膝の内側に痛みがある。そして、数週間前から正座ができなくなった、とのこと。痛みが強い時は、内科で処方してもらった痛み止めを時々内服している。日中の安静時痛はないが、夜間痛は時々あるとのこと。
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【現症】歩行時は、右T字杖を使用中。左膝関節可動域(以下、ROM)は、自動屈曲120°、他動屈曲135°。正座不可。膝蓋跳動なし。膝内側の鵞足部に圧痛あり。熱感・発赤なし。腰部周囲筋は触診で筋緊張が高い状態であった。
【検査所見】下肢伸展挙上テスト(以下、SLR)では、左右とも60°、痛み無し。踵部臀部間距離(以下、HBD)は、左右とも約8cm。神経学的異常なし。
【治療と結果】左大腿部伸側から腸骨稜周囲にかけて緩消法を実施。約20分実施後、ベッド上で正座が出来るようになり、その時のROMは約150°に改善していた。
徒手検査では、SLRは変化を認めなかったが、HBDは約4cmに改善していた。歩行時の膝内側痛は10から6(NRS改変)と小さくなった。
また、普段慢性的な腰痛もあるとのことで、腰部周囲にも緩消法を実施。約20分後、歩行時の腰痛 も10から7(NRS改変)と小さくなった。
【患者】40代後半、女性
【主訴】首周囲全体が痛くて、動かしづらい
【既往歴】特記事項なし
【現病歴】約1年前、普通車助手席に乗車中、信号待ち停車中に後方から追突され受傷した。即、近医整形外科を受診。レントゲンにて異常なし。数日後より、リハビリを開始。しかし、数ヶ月間リハビリを行ったが、痛みに著明な変化なし。また、当初より鎮痛剤やシップを処方されていたが、効果がないため、だんだん強い鎮痛剤に変更になった。それでも、鎮痛効果は乏しかった。最終的には、治療効果がないため前医での治療が打ち切りとなった。知人に当院のことを聞き、来院となった。
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【現症】当院初診時、後頚部から両側頚部にかけて痛みが残存しており、頚部は全方向に関節可動域(以下、ROM)制限あり。頚部自動ROMは、屈曲10°、伸展15°、左回旋15°、右回旋20°。触診にて、後頚部は全体的に筋緊張が高く、圧痛も複数箇所に存在。側頚部も左右とも部分的に筋緊張が高い所が存在していた。肩自動ROMに関しては、右肩のみ屈曲130°・外転160°と制限があったが、日常生活活動に支障は感じない程度であった。
【検査所見】Jacksonテスト陰性。Spurling テスト陰性。手指しびれなし。両上肢知覚鈍麻なし。前医での頚椎レントゲン・MRI
画像で外傷性変化なし。
【治療と結果】まず、頚部を自動運動させ、後頚部の中で一番痛みを感じる部分から緩消法を実施。
後頚部の中心から左右の外側にかけて実施した。2~3分ずつ、痛みの変化を確認しながら、一番痛みを感じる筋肉に対して順次実施。
最終的に、初回治療終了後(40分治療後)、痛みは10から3(NRS改変)へと小さくなった。頚部ROM制限は軽減し、左右回旋では45°可能となっていた。
【患者】80代前半、女性
【主訴】右肩から腕にかけて痛くて、肩が上げにくい
【既往歴】特記事項なし
【現病歴】数ヶ月前、特に誘因なく、右肩から上腕にかけての痛みと動かしにくさが発生。頚部の右後方が痛い時もあるとのこと。近所の整骨院にて電気治療や施術を受けたが、症状の変化がなかった。当院のことを知人から聞き、来院された。
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【現症】右肩関節可動域(以下、ROM)は、自動で屈曲80°・外転80°。drop arm sign
陰性。皮下出血斑、創なし。発赤、熱感なし。しびれ等の神経学的異常なし。後頚部は左右とも筋緊張が高かった。特に右は肩甲骨周囲にかけて、左よりも筋緊張が高かった。また、腰部周囲筋も筋緊張が高い状態であった。
【検査所見】頚椎ROMは日常生活支障なし。上肢腱反射異常なし。両上肢・肩甲部に感覚鈍麻なし。
【治療と結果】後頚部と右肩周囲に緩消法を実施。約5分後、右肩自動ROMは屈曲80°から120°に改善した。
外転は80°から105°に改善した。その後も継続し、初回治療終了後、自動屈曲135°・外転120°まで改善した。
症状再燃防止のため、腰部周囲の筋緊張との関連を考え、腰部にも緩消法を実施し、筋緊張の軽減を部分的に得られた。
【患者】60代後半、女性
【主訴】左手の親指から腕にかけて痛い
【既往歴】特記事項なし
【現病歴】数週間前に、特に誘因なく左母指指節間関節(以下、IP関節)付近に痛みが発生。その後段々と痛みが広がり、今は肘の周りや上腕まで痛みがある。特に、母指のIP関節が痛くて曲げにくい。
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【現症】圧痛は母指IP関節掌側に最も強く、手根中手関節・中手指節関節にもあり。母指IP関節可動域(以下、ROM)は、自動屈曲15°
と制限あり。他関節は痛みあるも明らかなROM左右差なし。肘の内側上顆・外側上顆・肩周囲には圧痛なし。前腕伸筋群には近位部全体に筋緊張が認められた。また、腰周囲筋も筋緊張が高い状態であった。
【検査所見】頚椎疾患を思わせる神経学的異常なし。
【治療と結果】まずは、緩消法を前腕伸筋群に実施。2~3分後、母指IP関節屈曲時の痛みが10から5(NRS改変)に減少した。また、母指IP関節ROMは、自動屈曲が、15°から45°に改善した。
他覚的にも、視診にてROMの明らかな左右差がなくなった。また、肘から上腕の痛みも当初の10から7(NRS改変)に減少した。 腰部周囲の筋緊張が高いので、このままだと母指の症状が戻りやすいことを説明し、腰にも緩消法を約15分実施。今後は自宅でも、できる範囲で腰部周囲に緩消法を自分で継続するように指導した。
【患者】30代 男性
【主訴】右の臀部全体が痛い
【既往歴】―
【現病歴】1週間前の朝、起床時に腰が痛くて起きられず、近くの治療院に行ったがギックリ腰と言われ、そちらの紹介で奥さん同伴にて来院。少しの立位体幹前後屈でも右臀部全体に痛みを感じる。
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【現症】自動関節可動域(以下、ROM)胸腰部前屈10°で右臀部全体の痛みを訴え、ROM胸腰部後屈5°で右臀部全体に痛みを訴えた。
【施術と結果】本症例の右臀部全体の痛みは、痛みを訴える部位の垂直線上にある腸骨稜周辺の筋緊張が要因となっていると考えられ、腸骨稜上部に確認できた筋緊張の約3cm幅へ緩消法を約5分行った。
その結果、ROM胸腰部前屈30°、ROM胸腰部後屈10°で痛みを訴えるまでROMが増大し、立位体幹前後屈の動作を行ったときの痛みが10から2(NRS改変)となった。
ギックリ腰と言われるような急な臀部痛(軽度)においては痛みを訴える部位の垂直線上にある腸骨稜周辺の筋緊張の部位への緩消法が効果的であることが考えられる。さらに腰部全体の筋弛緩を行うことでギックリ腰にならない体になることが可能と考えられ、本施術(30分)の残時間は腰部全体に緩消法を行い終了。
【患者】70代、男性
【主訴】肩関節周囲炎
【既往歴】高脂血症、高血圧
【現病歴】1年前に左肩に激痛が走り、病院へ受診。肩関節周囲炎と診断される。
投薬治療と鍼灸、リハビリテーションを行い、痛みは減少したが可動域の制限が出始める。
徐々に可動域が狭くなっていった。
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【現症】肩関節 自動関節可動域(以下・ROM)屈曲約90°・外旋45°
不動時に疼痛はなく、自動ROMのみ痛みが発生。
肩関節他動ROMでは痛みはなし・他動ROM屈曲約100°
【検査所見】-
【施術と結果】肩関節の屈曲改善のため、肩関節伸筋に関連する広背筋・大円筋へ緩消法を3分行う。
自動ROMの再検査を実施。
肩関節自動ROM・屈曲 約90°から約100°に大きくなる。外旋 約45°から約45°変化はなし。自動ROM時の痛み10から7(NRS改変)と小さくなる
肩関節の外旋を阻害する可能性が高い大胸筋への緩消法を1分行う。 肩関節自動ROM 屈曲 約100°から約150°・外旋 約45°から約90°に大きくなる。
大胸筋周辺の筋肉を弛緩することで肩関節外旋の可動域の改善された。
【患者】60代、女性
【主訴】手の指に痛みがあり握れない・こわばりがあり
【既往歴】-
【現病歴】10年前より手指にこわばりを感じ始める。
その後、こわばりが大きくなり、手を握ることが困難になる。
内科医から関節リウマチと診断される。
リウマチの治療の一環でリハビリテーションをしている。
投薬治療は副作用が強く、現在、投薬は中止。
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【現症】両手とも手指の関節の可動制限あり。
少指は掌に付くが、その他の手指は掌まで2cm離れて止まる。
来院時は、こわばりのみで痛みはないが、他動にて動かすと動かした手指に激痛が走る。
示指・中指・薬指には若干の腫れが見られる。
【検査所見】-
【施術と結果】両手指に腫れが散見され、炎症を起こしているのではないかと疑う。筋肉の破損の可能性を考え、痛みがある主旨への直接の施術は避ける。
前腕の前腕の筋肉群( 浅指・深指屈筋、総指伸筋 )に施術ポイントを絞る。前腕筋肉群に緊張している筋肉が多く、特に中指・薬指に関連する筋に緊張がみられる。前腕の屈筋・伸筋が共に緊張することで拮抗ししてしまい、可動制限を受けていると仮定。
右側前腕緊張部に対して3分、緩消法を行い再度、可動域の検査を行う。可動域は変化は見られないが、関節の動きに滑らかさが出たと本人が話す。
他動にて手指を動かした際の痛みが、10から5(NRS改変)さらに前腕部の筋肉・同一部位に緩消法を5分、行う。
右四指を握ると指先が掌に付き、施術前より関節の可動域の改善が見られた。
【患者】50代、女性
【主訴】字を書こうとすると震えてしまう
【既往歴】-
【現病歴】20年前から右手での書字の際に手の震えが発生する。
脳神経外科でのMRI画像診断では異常なし。
血液検査、神経などの検査でも異常なし。
改善の傾向はなく、現在に至る。
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【現症】右手での書字は、手がぶれて滑らかな線が書けず、5㎜幅のぶれがある。
鞄や椅子の移動など、書字以外の動作には震えは感じない。
【検査所見】-
【施術と結果】大胸筋、三角筋、広背筋に触れてみたが目立った緊張は見当たらない。肩関節・肘関節・手首の関節可動域に異常がないことからも大きな筋肉の問題ではないと推測。
小胸筋上腕骨付着部の硬結部に緩消法を行う。書字のぶれが2~3mm幅に減少する。
再度、肩関節周囲の筋肉群(小胸筋・鎖骨下筋)の緊張に緩消法を行い弛緩する。書字の確認を実施すると、線のぶれが1mm程度となる。
今回の例では脳・神経の異常が見当たらない症例の場合、運動時震戦は筋肉の緊張に問題があるようだった。
緩消法にて筋肉を緩めることで異常が見当たらない震戦の改善の可能性があるのかもしれない。