左膝痛の影響で発生した腰痛の改善例

【患者】70代前半、男性
【主訴】体を動かす時に腰が痛い
【既往歴】左膝関節鏡視下手術(詳細不明)
【現病歴】約20年前、左膝内側半月損傷の診断で、他院にて膝関節鏡手術を受けた。その後、左膝の痛みは減ったが、内側の痛みがずっと残っている状態。歩き方が変な感じはその後も継続しており、約5年前に腰の右側が痛くなってきたとのこと。
【現症】腰部は、体動時にL5高位右側から右仙腸関節付近にかけて痛みあり。胸腰部関節可動域(以下、ROM)は、前屈約20°・左側屈約20°で共に痛みあり。
【検査所見】両下肢の神経学的異常なし
【治療と結果】触診にて、腰部は全体的に筋緊張が高いが、特に第5腰椎高位右側に筋緊張が高い部分あり。腰痛はこれらの筋緊張によるものと考えた。腰部側面の小指押圧深は左右側とも約2.5cmだった。
 まず、体動時に痛みを感じる部分に緩消法を実施。約2分後、筋弛緩を確認。ROMは前屈約20°での痛みは10から8(NRS改変)と小さくなり、前屈約30°まで可能となった。続けて同部位に実施。約5分後、更に筋弛緩を得ることができ、ROM前屈約20°での痛みは10から6(NRS改変)と小さくなり、前屈は約35°可能になった。
 更に数分続けるも前屈時の痛みに変化がなかったため、同部位の筋緊張は腰部側面の筋緊張と関連があると考え、腰部左右側面の筋群に緩消法実施。約15分後、腰部側面の小指押圧深は左右側とも約3.5cmになった。ROM前屈は約20°での痛みは10から2~3(NRS改変)と小さくなり、前屈約45°まで可能になった。また、左側屈約20°での痛みは10から4~5(NRS改変)と小さくなり、約35°まで可能となった。
【考察】腰部の筋緊張はまだ強く残存している部分があるため、更なる痛みの改善・再燃予防のためにも、今後も継続した腰部筋弛緩ケアが必要と考える。