【患者】40代後半 女性
【主訴】背筋を伸ばしたり、曲げたりすると背中がズキッと痛む。左腕を動かす時にも痛く、腕を上に挙げる事が痛くて、しっかり伸ばせない。
【既往歴】腰痛症
【現病歴】前日に椅子のリクライニングをゆっくり倒そうとしたら、左背部(下部)に痛みが発症し、1分間程、痛みで全く動く事が出来なかった。横になって安静を心掛け1日経過した為、動ける様になったものの、胸腰部の前後屈時や左腕を動かす際に強い痛みがあり、1日でも早く仕事復帰出来るようにと来院された。
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【現症】目視及び触察にて痛みを訴える部位の熱感、腫脹はないと判断した。但し、腰背部の筋緊張があり、特に左広背筋周辺と左脊柱起立筋周辺の筋緊張が著明であった。
胸腰部の前後屈時や左腕を挙上する際の背部痛が強く発現する。安静時痛はなく、運動痛のみである。
【施術と結果】本症例は急性背部痛であるが、触察にて痛みを訴える部位の熱感、腫脹がない事を確認した為、痛みの要因は筋緊張による血行不良であると推測した。運動痛の発現状況から左広背筋周辺と左脊柱起立筋の筋緊張が考えられ、触察により筋緊張を確認した。
痛みを訴える部位は第10胸椎から第12胸椎高位の左脊柱起立筋周辺及び広背筋周辺であり、同部位に緩消法を約1分行い、筋弛緩を確認した。その結果、痛みは10から5(NRS改変)になった。
次に痛みを訴える部位の遠位である第12肋骨の下縁の筋緊張部位に緩消法を約2分行い、筋弛緩を確認し、胸腰部の前後屈時の運動痛が10から0(NRS改変)となり、左腕を挙上時の痛みは10から7(NRS改変)になった。
最後、第3腰椎、第4腰椎高位の左広背筋周辺の筋緊張部位に腰部側面から正中に向かって緩消法を約20分行い、筋弛緩を確認し、押圧深は約4cmとなった。その結果、左腕挙上時の背部痛は10から0(NRS改変)になった。