3週間前から右肩甲骨挙上時に発現する右上肢の痺れの改善例
【患者】50代後半 男性
【主訴】3週間くらい前から右手全体が時々痺れる。
【既往歴】ー
【現病歴】今まで時に頚部痛や肩凝りは発現する事があったが、3週間程前から右肩甲骨を挙上する動作時に右上肢全体(全指尖まで)痺れが発現する。この痺れが発症した数週間前から仕事で重い機材を持ち上げる機会が増え、肩凝りが悪化し右僧帽筋上部辺りに痛みも感じていた。
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【現症】右上肢の痺れは全体的であり、全指尖までの範囲に及ぶ。常時発現している訳ではなく、痺れが発現するのは右肩甲骨を挙上する動作時であり、痺れは安静により数分間で消失する。肩凝り様の痛みは右僧帽筋上部にあるが、右肩関節から末梢部には痛みはなく、筋力低下も認められない。
【施術と結果】本症例は右上肢全体の痺れを訴えているが、触察により熱感、腫脹が認められなかった為、痺れの要因は筋緊張による血行不良であろうと考えた。
右上肢全体の血行不良が起こる可能性がある箇所として右鎖骨内縁周辺ではないかと考え、触察すると強度の筋緊張が確認できた。同部位に緩消法を行おうと指先を押し当て、筋の伸縮をする為右肩甲骨を上下に他動的に動かそうと試みるも右肩甲帯の緊張が強すぎ円滑に動かない状態であった為、一旦中断し、右肩甲帯の筋緊張を緩和させる為、触察により確認した右腰部の筋緊張を弛緩をする事にし、右腰部側面を真横から正中に向かって約20分緩消法を行い筋弛緩を確認した。その結果、右肩甲帯全体の筋緊張の弛緩が触察及び他動運動で確認できた為、改めて右鎖骨内縁の特に筋緊張の強い胸鎖乳突筋付着部辺りを触察により確認し、緩消法を約1分行い筋弛緩を確認した。
その結果、右肩甲骨を挙上する動作をしていただいても右上肢に痺れは主観で発現しなくなった。腰部の筋緊張が根本的な原因である事を説明し施術を終了したが、凄く納得され感心していた様子でした。