18年前から変わらず続く、後頚部痛・背部痛の改善例
【患者】40代前半、男性
【主訴】首の後ろから背中にかけて、痛みと突っ張り感がある。
【既往歴】小児喘息
【現病歴】約18年前、仕事中に背部を強打した記憶がある(詳細不明)。それ以降、後頚部から背部にかけて痛みと突っ張り感が継続しており、仕事中に急に気分が悪くなることがある。近医内科・整形外科を受診し、心エコーやレントゲン等の諸検査にて異常は指摘されなかった。しかし、その後も症状に変化が無かった。約2年前に心療内科受診を勧められ、抗うつ剤を約1年間内服したことがあるが、効果が無かったため中止となった。その後、これまでに他院にて色々な施術を受けてきたが症状が残存している。
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【現症】後頚部正中から背部全体に、安静時でも痛みと張りを感じる。胸腰部の前屈・後屈・左右側屈の全方向で背部(以下、肩甲骨内側部)の痛みが増強し、可動域(以下、ROM)は、前屈約30°・後屈約5°・左右側屈約20°で、特に、左右側屈時の痛みが一番強かった。左右側屈時は、ともに両肩甲部内側部に痛みあり。その痛みの左右差は軽度あり、側屈方向の肩甲骨内側の筋群に強かった。頚部自動運動では痛みの誘発なし。両肩関節ROMは日常生活において支障なし。
【検査所見】Jacksonテスト陰性、Spurlingテスト陰性
【治療と結果】触診では、特に、後頚部正中付近から両肩甲骨内側部にかけて、その周囲筋群と比し筋緊張が高かった。本症例の症状は、筋緊張亢進によるものと考え、まず、胸腰部左側屈時に一番痛みを感じる部分と、右側屈時に一番痛みを感じる部分を確認し、その部分に同時に緩消法を実施。約2分後、左右側屈時の痛みは共に10から9(NRS改変)に小さくなった。
痛みに変化があったため、続けて同部位に実施。約5分後、痛みは10から7(NRS改変)に小さくなった。再度、左右側屈動作による一番痛い部分を確認し、その部分に約5分実施。しかし、痛みに変化が無かったため、肩甲骨内側部の痛みは腰背部移行部の第12肋骨付近の筋緊張と関連があると考え、その付近の筋群に実施。約10分後、左右側屈時の痛みは共に10から5(NRS改変)に小さくなった。胸腰部ROMは。前屈約40°・後屈10°・左右側屈約30°へと変化した。
安静時の突っ張り感も主観で半減した。これまで不変の症状が半分に減ったので良かった、と報告を受けた。